電子制御エンジン 故障診断の決め手
その9
総合診断
故障判断のポイント

系統別の点検要領を説明します。

3.空気系の点検
 空気系の関連部品として
 1.エア・クリーナ、スロットル・ボディー(アイドル回転数制御装置)、
   サージ・タンク、インレット・マニホールド
 2.ターボ・チャージャ、インタークーラ、吸気管制御装置
 3.キャニスタ、PCVバルブ、、EGR
 4.エア・フローメータ、バキューム・センサ
 5.接続部のホース及びガスケット

 点検のポイント
   総合的な点検として空気の流れる部分でエアの吸い込み(負圧部)又は漏れ(加圧部)がないかを点検する。
   マニホールド負圧  500mmHg位が普通であり、エアの吸い込みがあれば、負圧が小さくなる。
   部分的な点検としてスロットル・ボディー及びPCVバルブの汚れ具合の点検
   作動点検として、ISCV及びキャニスタを点検する。
   空気系のセンサとしてエア・フローメータ、又はバキュ−ム・センサの点検をする。

   判断基準       エア・フローメータ  バキュ−ム・センサ
     エンジン停止時    0.2〜1.2V        3.0〜3.6V
     アイドル回転時    1.2〜1.5V        1.5V前後
     加速時          1.5V〜3.5V位まで上昇する。 

   このセンサの良否判定は、数値での判断が難しい。メーカー基準では範囲が広くて判断できない。従って同型車種の出力電圧を参考にして判断するのが、的確な方法と思われる。(空気量が多くなると電圧が上昇する、つまり電圧が基準より低くなると噴射量が減少する。)
   又、エア・フローメータの熱線の汚れによる出力電圧の低下も判断が難しい。部品を交換して解る場合が多いので、試しに熱線の汚れを掃除してみるのも解決法と思われます。
4.制御系の点検
制御系の関連部品として

 1.エンジンECU
 2.回転検出センサ(クランク角センサ、カム角センサ、TDCセンサ)
 3.水温センサ、吸気温センサ
 4.スロットル・センサ、O2センサ、ノック・センサ
 5.その他信号

 点検のポイント
   ・ECUの不具合の判断は、IG/ONでエンジン警告灯が点灯するかを確認する。警告灯が点灯しない理由は、ECUに電源が来ないか、又はECUの不良である。
    ECUが不良と思われる時は、ECU基板を点検して焼損部品がないか、確認すると良い。

   ・回転検出センサの判断は、自己診断に記憶されていないかを点検する。又エンジン始動不良の時は、火花とインジェクタの作動点検を行い判断する。

   ・水温センサの点検(水温の変化による電圧特性)

             抵抗値       電圧値
     20℃    2〜4KΩ      2V前後
     80℃    0.2〜0.4KΩ    0.6V前後

    抵抗値は暖機すると1/10になり、電圧値は1/4位になる。
    意外に水温センサは一過性の故障(一時的)であり、点検すると正常な時が多い。完全に故障状態になると、自己診断に記憶されるので確認する。(吸気温センサも同様のセンサなので、エンジン始動前は温度条件がほぼ同じなので比較をして判断する。)

  ・スロットル・センサは開度信号の電圧を測定する。

            開度電圧
   アイドル時  約 0.5V
   中間時    0.5〜4.0Vに変化(滑らかに電圧変化)
   全開時    約 4.0V

  ・O2センサは出力電圧を点検する。
   理論空燃比(15:1)に対して薄い、濃いを判定している。

              薄い      濃い
   出力電圧    0〜0.4V   0.5〜1.0V
   エンジン回転数を常用回転(2000rpm)にして、電圧が10秒間に6〜8回程度の変化を繰り返すことを確認する。 
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