電子制御エンジン 故障診断の決め手
その10
故障修理のポイント
関連系統の一括整備(セットメニュー)を提案します。
故障診断を進める時に、故障箇所を絞り込む事が困難な場合が、良くあるものと思います。
   (故障原因は多くの場合、ある一箇所なのですが・・・)

 @何箇所も不具合と判断できる。(その症状の直接原因ではないが、関係があると考えられる。)
   例:アイドル回転が不安定(エア・フロー・メータ、アイドル回転制御装置、プラグ、プラゴ・コードなど)

 A現在は直接原因ではないが、摩耗又は劣化が進んでいるので交換と判断できる。
   (後日故障となり、再整備となってしまうおそれがある。)

 この様な場合には、整備を行うものとしては「関連系統の一括整備」をお願いしたいところであります。
最近は、定期交換部品を時期通りに交換しないユーザ又は整備士が多い。
特に中古車の場合には、過去の整備歴がハッキリしない場合がある。一括整備が必要です。

  エンジンに不具合のある場合には、基本項目の整備と系統別の整備を組み合わせて行います。
  リフレッシュ・セットメニュー(エンジンに不具合のある場合)
  基
  本
  項
  目
  の
  整
  備
 

 車令 5年以上、走行距離 5万Km以上

     点火系  プラグ交換
            プラグ・コード交換
            ディス・キャップ、ロータ交換
 
     空気系  エア・エレメント交換
            スロットル・ボディーの清掃

  車令 10年以上、走行距離 10万Km以上
 
      燃料系  フューエル・フィルター交換

       空気系  アイドル回転制御装置の清掃
             ブローバイ・ガス還元装置の清掃
      
  系
  統
  別
  の
  整
  備  
装 置 区 分 主な部品名と整備内容
     1.圧縮システム(良い圧縮の点検) タイミング・ベルト(バルブ・タイミングが合っているか)
カム・シャフト(摩耗していないか)
     2.点火システム(良い火花の点検) イグニッション・コイル(点火時期及び点火能力の点検)
イグナイタ・ユニット(点火時期の進角特性の点検)
     3.燃料システム(良い混合気の点検) 燃圧(燃料圧力の点検)
プレッシャ・レギュレータ(燃圧制御及びダイアフラム機密)
     4.制御システムの点検(総合的な点検) 空気量計測センサ(出力電圧の点検)
スロットル開度センサ(出力電圧の点検)
O2センサ(出力電圧の点検)
     5.冷却システム ファンベルト(張り及び摩耗)
クーラント(液量及び劣化状態)
ウォータ・ポンプ(漏れ及び摩耗)
     6.潤滑システム エンジン・オイル(量及び漏れ)
オイル・フィルター(交換時期及び漏れ)
カムシャフト・カバー内(汚れ及び摩耗)
     7.始動システム バッテリー(液量、比重)
スタータ(始動性の点検)
     8.充電システム ファンベルト(張り及び摩耗)
オルタネータ(充電電圧の点検)
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