電子制御エンジン 故障診断の決め手        
その3

基本作動項目の点検要領

【 電  イン  火  空 】

点検整備での良否判定は比較の技術です。
(正常時に点検をして良く記憶しましょう。迷ったら正常な車と比べましょう。)
点検項目

関連部位

点検整備の要点

電源電圧 エンジン・チェック・ランプ
IGS/W ONで点灯するか。
点灯しない時は、ECUに12V電源なしか、ECUの不良
インジェクタ

点検ランプで作動点検

点滅による通電確認。
噴射波形の観察 オシロスコープによる、波形の形と時間で判断。
火 花

    火花がでない時
     の診断方法




3Vの電圧を加えるには

@工作用具の売り場で乾電池BOXを購入して作成

Aアナログサーキット・テスタの抵抗レンジ(×Ωレンジ)にするとテスターの種類により3V発生する。この場合にテスト棒の−側が+極になるのでテスト棒の+側をアースする。
別のテスターで電圧と極性を点検してから利用して下さい。

 ホンダ車の場合

  イグナイタ点検1

  イグナイタ点検2

  イグナイタ点検3


コイルの+及び−極端子に点検ランプを取り付けて点検すれば判断しやすい。(コイルに電気が流れるか目で確認できる)
正常時は点検ランプが点滅する。(つまり、イグナイタ又はパワ・トラなどが機能すれば断続信号となる。)


まとめ
この点検時に、IG/ONにするのかとか、クランキングするのかなどと質問する方は点検をやめて下さい。
1.点検ランプが点滅するのに火花が出ないのはコイルの不良

2.点検ランプが点滅しない時は、イグナイタ等の不良か、ECUからの点火信号がない場合である。

3.イグナイタの単体点検
  イグナイタ又はパワ・トラには配線が3〜5本きていますが、そのうち、2本はコイルの+と−に接続されています。
1本はECUからの点火信号があります。
後の2本はメーカ、車種により(点火確認信号とタコメータ信号)
ECUからの点火信号の配線(イグナイタのコネクタ部)に3Vの電圧を加えるとイグナイタは断続動作をして、点検ランプを点滅させる。
この点検で点滅しない時は、イグナイタの不良です。
この点検で点滅する時は、点火信号がECUからきていない。
この場合に、上記のインジェクタ信号の点検を行うとさらに判断できます。
インジェクタの作動信号がない、イグナイタに点火信号がない、この2つの条件がそろった場合は、回転信号系の故障(クランク角センサ又はECUの不良の可能性が高い。)

コイルのパワー・テスト プラグ・コードにタイミング・ライトを取り付け、急加速をしてライトの発光を確認する。
急加速時に発光が途絶えたときに息付きがあれば、コイルのパワー不足である。
ダイレクト・イグニッションの場合は別のプラグとコードを取り付けてテストできます。
各気筒毎に、このしかけをつくれば何と、エンジン・スコープでの点火波形も読みとることができます。
空燃比

O2センサ出力電圧点検


サーキット・テスター

又はオシロスコープを

使います。

メーカにより点検方法が指定されている。
 トヨタ:VF点検 日産:O2モードの点検
 その他:O2センサの出力電圧点検
以上の様に点検方法が示されているので、普段から正常な車両の点検をして特性を覚えておく。

2センサを利用すると、空燃比の状態が濃いか、薄いかの判断が簡単にできる。
出力電圧が1V
位まで上がる。−−−濃い状態
       0V位まで下がる。−−−薄い状態
加速時に、出力電圧が1V位まで上がる状態にならなければ、空燃比は薄いと考えられますので、加速不良になります。
たったこれだけの事で、加速不良における空燃比の点検ができてしまいます。

空燃比に影響する装置 空気系、燃料系又は制御系の故障により空燃比が不適正になっている。
空気系:マニホールド、サージ・タンク、ホース
     ターボ、インタークーラのエア吸込
燃料系:燃圧高い又は低い、燃料おかしい
制御系:エア・フローメータ、バキューム・センサ
     水温センサ 

最近、2センサのリーン異常という故障コードが記憶される車両があります。早合点してO2センサを交換してしまう整備士がいる様ですが、制御系(エア・フローメータの故障)のトラブルがある場合があるので注意をして下さい。

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