電子制御エンジン 故障診断の決め手
その6
アイドル回転不良の時、(キャブ車、電子制御式スロットル車を除く)
この故障は、何種類かのタイプに分類できます。
@規定回転数より低い(例:700rpm→600rpm)
A          高い(例:700rpm→900rpm)
B回転数が変動する(規則的に変動するものはハンチング現象)
C             (不規則に変動するものはバラツキ現象)

故障診断の手順

アイドル回転不良の時は、次の点検を実施して下さい。


1.自己診断装置
(故障コードの読みとり)
  FAINESを参照
1回目 2回目(消去後) 1回目のコードは、過去故障又は現在故障のいずれかである。
コード消去後の2回目に故障コードがあれば、現在も故障しています。
 (       )  (        )

2.基本点検
点火系の点検  水温センサ、スロットル・センサなどの、故障診断に検出されない特性ズレにより、
            点火時期に変化が表れることがある。
            (水温が低いときは点火時期は進角し、アイドル回転数を高くする)
  @適切な点火時期になっているか。
     イニシャル点火時期(固定点火時期)の確認−−規定の点検要領で基準値になるか。
     通常のアイドル点火時期が適正状態か(固定点火時期よりも少し進角している車が多い)

アイドル回転数制御装置の点検  

  Aアイドル回転数制御装置(ISCVなど)が作動しているか。
     ISCVのコネクタを外して、回転数が変化するか確認する。
     タイプにより回転数変化が異なります。
     ・リニア・ソレノイド式−−(低くなる)
     ・ロータリ・バルブ式 −−(高くなる)
     ・ステップ・モータ式 −−(変化しないので、次の方法で行う)
      ステップ・モータ式は、コネクタを接続してエンジンを停止する(この時バルブが全開となる)、
      コネクタを外して再始動した時に、回転数が高くなる(1000rpm〜1500rpm)。
      想定された、変化がなければ、ISCVが作動していない。

  B作動していない時は、作動信号の点検を行う。点検ランプを取付けて点滅により簡易点検する。
     ・リニア・ソレノイド式−−(2極コネクタに取付)
     ・ロータリ・バルブ式 −−(3極コネクタの2極に取付)
     ※作動しない時は、配線、又はECUの不良
  CISCVの空気通過量を制御するバルブを清掃する。(カーボンにより汚損して作動不良になっている)

アイドル回転数補正制御の点検 
  D次の項目を作動させて、アイドル回転数が上昇するか。
     ・電気負荷をかける(ヘッド・ライト点灯)    ・Dレンジにする
     ・エアコンをONする                
  E前記の点検でアイドル回転数が落ち込む様であれば、ISCVの作動不良。
2.規定回転数より低い、又は高い
アイドル回転数が低い時の推定原因  
  @ISCVが作動していない(バルブの閉側固着又は作動信号なし)

  AISCVが作動している  (制御範囲を超えているので、回転数制御装置以外の故障)
                   ・点火系不良によりパワーダウンしている
                   ・吸気系不良により空燃比不適正(エア吸込など)
                   ・制御系不良により空燃比不適正(エア・フロ、又はバキュームセンサなど)

アイドル回転数が高い時の推定原因

  @ISCVが作動していない(バルブの開側固着又は作動信号なし)

  AISCVが作動している  (制御範囲を超えているので、回転数制御装置以外の故障)
                   ・吸気系不良により空気量過多(エア吸込など)
                   ・アイドルアップ装置の作動(パワステ、エアコンなど)
                   ・制御系不良により目標回転数高い(スロッル・センサ、又はアイドル接点など)
                   ・ECUの不良
3.回転数が変動する
規則的な変動(ハンチング現象)  (アイドル回転数が高過ぎて、フューエル・カットしている状態)
  @ISCVのコネクタを外しても変動がある。(前記のアイドル回転数が高い時の推定原因と同じ原因)

  AISCVのコネクタを外して、変動がなくなれば制御系の不良
                   ・吸気系不良により空気量過多(エア吸込など)
                   ・アイドルアップ装置の作動(パワステ、エアコンなど)
                   ・制御系不良により目標回転数高い(スロッル・センサ、又はアイドル接点など)
                   ・ECUの不良

不規則な変動(バラツキ現象)
  @ISCVのコネクタを外しても変動がある。
                   ・点火系不良により失火している
                   ・吸気系不良により空燃比不適正(エア吸込など)
                   ・制御系不良により空燃比不適正(エア・フロ、又はバキュームセンサなど)
                   ・可変バルブタイミング機構の故障(バルブタイミングが変動する)

  AISCVのコネクタを外して、変動がなくなれば制御系の不良
                   ・アイドル回転数制御装置の不良
                   ・ECUの不良
4.基本点検項目の点検  【 電  イン  燃  点  火  アイ  空 】
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