電子制御エンジン 故障診断の決め手
その7
エンストする時の故障は、
@エンスト後、すぐに始動できる場合
A            始動できない場合に分類できる。
故障原因は、
@アイドル回転数制御装置に関係する場合
A点火系、燃料系、制御系に関係する場合になる。

故障診断の手順

エンストする時は、次の点検を実施して下さい。


1.自己診断装置
(故障コードの読みとり)
  FAINESを参照
1回目 2回目(消去後) 1回目のコードは、過去故障又は現在故障のいずれかである。
コード消去後の2回目に故障コードがあれば、現在も故障しています。
 (       )  (        )

2.基本点検アイドル回転数制御装置に関係する場合)
    
 〈この時はエンスト後に、すぐに始動できる場合が多い〉

アイドル回転数制御装置の点検調整  

  @アイドル回転数制御装置(ISCVなど)が作動しているか。
     ISCVのコネクタを外して、回転数が変化するか確認する。
     タイプにより回転数変化が異なります。
     ・リニア・ソレノイド式−−(低くなる)→この時、エンストする場合は規定回転数に調整する。
     ・ロータリ・バルブ式 −−(高くなる)
     ・ステップ・モータ式 −−(変化しないので、次の方法で行う)
      ステップ・モータ式は、コネクタを接続してエンジンを停止する(この時バルブが全開となる)、
      コネクタを外して再始動した時に、回転数が高くなる。
      想定された、変化がなければ、ISCVが作動していない。

  A作動していない時は、作動信号の点検を行う。点検ランプを取付けて点滅により簡易点検する。
     ・リニア・ソレノイド式−−(2極コネクタに取付)
     ・ロータリ・バルブ式 −−(3極コネクタの2極に取付)
     ※作動しない時は、配線、又はECUの不良
  BISCVの空気通過量を制御するバルブを清掃する。(カーボンにより汚損して作動不良になっている)

アイドル回転数補正制御の点検調整 
  C次の項目を作動させて、アイドル回転数が上昇するか。
     ・電気負荷をかける(ヘッド・ライト点灯)    ・Dレンジにする
     ・エアコンをONする                
  D前記の点検でアイドル回転数が落ち込む様であれば、ISCVの作動不良。

  C、Dの時、エンストする場合は規定の調整方法で回転数を調整する。
3.点火系、燃料系、制御系に関係する場合
  〈機械は線で故障するのでコワレタままになる、電子部品は点で故障するので又直る〉

点火系の点検 
高電圧系のリーク(プラグ・コード、ディス・キャップ、ロータなどのリーク点検)
           コイル、イグナイタ又はパワ・トラの
一時的故障

        
  (半導体に良くある温度変化時の故障であり、判断が困難である。自己診断に依存
  

燃料系の点検 
フューエル・ポンプ、フューエル・ポンプ・リレーの一時的故障
          温度変化、振動などの影響で瞬間的に作動不良になる


電子制御系の点検  
水温センサ、エア・フロ、クランク角センサ、ECUなどの一時的故障
             (半導体に良くある温度変化時の故障であり、判断が困難である。自己診断に依存

まとめ   エンスト後に、すぐに始動できない場合は、故障探究作業が出来るので比較的、幸運な作業となる。
       →その4 エンジンが始動しない時を参照

       しかし、すぐに始動できる場合は、故障診断作業が困難になる。
       この系統は電子部品が多く、時々発生するなど一時的故障となり整備士に苦労をかけている。
       (1日に1回エンストするとか、月に2〜3回エンストするなど)


       水温センサ、エア・フロなど人為的に瞬断を作ってもなかなかエンストしないものである。
       それが、実際の故障では、断と接をチャタリング的な速さで繰り返す為にECUが混乱して
       制御不能になり、エンストになると思われる。

       故障した水温センサ、エア・フロなどの単体点検を行って見ると、たいがい正常であり、
       ある条件でのみ故障現象が発生するようである。
  
   電子部品の故障は、ハンダの接続箇所のトラブルが多く、熱及び振動が原因しているようです。

4.基本点検項目の点検  【 電  イン  燃  点  火  アイ  空 】
 その8へ