電子制御エンジン 故障診断の決め手
その2

基本点検項目に関する点検整備の要点

【 電  イン  燃  点  火  アイ  空 】

能力による点検整備方法 ( 初:初級者用  中:中級者用  上:上級者用 )

点検項目

関連部位

点検整備の要点

1.電源電圧 バッテリ電圧
ECUへの電源
ECUのアース
12V以上あるか。
ヒューズ、リレーの点検
アース電位0.3V以下か。
エンジン・チェック・ランプ IGS/W ONで点灯するか。
メーン・リレー 作動確認(音、脱着操作)
B、E1、VCC ECU部で、電源及びアースの電圧点検
安定化電源(5V回路)点検
2.インジェクタ 電源側配線
ECU側配線

インジェクタの詰まり
インジェクタの固着

電源電圧あるか。
ECUコネクタ部のピン抜けないか。
トヨタ車(#10,#20のピン)日産車(シリンダ毎にピンがある)
作動音あるが無噴射(シリンダ・バランス法により点検)
作動音なし

ドライバーで作動音確認 振動の大小による判断。

点検ランプで作動点検

点滅による通電確認。
噴射波形の観察 オシロスコープによる、波形の形と時間で判断。
3.燃 圧

燃圧の状態
プレッシャ・レギュレータ
フューエル・ポンプ
ポンプの制御系統

燃圧計で点検すれば一目瞭然。
戻り側が詰まり燃圧上昇でポンプ加熱する。
ポンプ回転していても、燃圧低下によるエンストあり。
ヒューズ、リレー、ECUの不良。

ポンプの回転音を確認 IG ONで数秒回転するタイプは、始動せずに音の確認をする。

ポンプ回路の電圧を確認

ポンプ電源回路の点検をする。

燃圧の測定
規定燃圧か。

燃圧計を取り付て走行テストを行う。
4.点火時期

点検要領
アイドル接点

ECUの故障

テスト端子を短絡して点検(固定点火時期の確認)
アイドル接点信号のあるタイプは接触不良又は調整不良になると点火時期が不安定になる。(アイドル回転の不安定)
バック・アップモードになり点火時期が固定となる。

イニシャル点火時期の点検

テスト端子を短絡して点検(固定点火時期の確認)をする。

加速、減速時の点検

エンジン回転を変化させて点火時期の変化を確認する。(通常良く点検すれば特性が覚えられる。)

気筒別に点検 車種により、気筒により点火時期が異なることがあるかもしれない。
5.火 花

強い火花が飛ぶか。
プラグ
プラグ・コード
デス・キャップ、ロータ
コイル、イグナイタ

エンジン・スコープで点検すれば一目瞭然である。
白金プラグの10万kmのメンテフリーを過信しない。
抵抗測定では判断できない場合があるので注意。
リークの有無を確認。
負荷テストが必要である。

火花が出るか点検
プラグ・コードの抵抗

10〜20mm位、離しても飛ぶか点検する。
16KΩ/m以下か点検する。

タイミング・ライトによる点検

加速時にタイミング・ライトが消灯する様であれば、コイルのパワーが不足している。

エンジン・スコープによる点検

エンジン・スコープによる波形の異常、要求電圧及びドエル・アングの確認。
6.アイドル回転数及び制御装置

点検要領
アイドル回転制御装置





別の部位の故障により
アイドル回転数が変動

テスト端子を短絡して点検するタイプが多い。
スロットル開度センサの故障又は調整不良になるとアイドル回転制御しないので不安定になる。)
スロットル・バルブの汚れ及び渋り(重くなる)
アイドル制御用バルブの汚れ(カーボン付着)
ターボのオイル上がりによるバルブの作動不良。
ECU不良による制御不能又は誤作動
インマニ系統からのエアの吸い込みがないか。(ガスケット漏れ、ホースの外れなど)
点火系又は燃料系の故障

アイドル回転数の点検調整

基準の回転数になっているか確認する。
(テスト端子を短絡するなどの操作が必要)

アイドル回転制御装置の点検

リニア式:制御用コネクタを脱着して回転の変動を確認する(車種により変動の仕方が異なるので常時点検して記憶する)
モータ式:制御用コネクタを外すと、その位置でバルブが固定されるので回転が変動しない。
エンジンの停止時はバルブが全開になっている。

診断器、オシロスコープによる点検

診断器を使用して、開度のステップ数を点検する。
オシロによるデュティ比の点検。

7.空燃比フィードバック装置

2センサの作動状態



空燃比に影響する装置

2センサの不良により、CO濃度大、アイドル不安定、加速息つき、プラグのくすぶりなど発生。
メーカにより点検方法が指定されている。
 トヨタ:VF点検 日産:O2モードの点検
 その他:O2センサの出力電圧点検
燃料系又は制御系の故障により空燃比が不適正になっている。

2センサの作動 2センサの制御用コネクタを外して状態変化をみる
フィードバックの点検 メーカ指定の点検方法により確認する。
診断器、オシロスコープによる点検

診断器を使用して、フィードバックの点検をする。
オシロによる波形観察の点検。

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