電子制御エンジン 故障診断の決め手
その13
故障診断器は必要か?
  
 故障診断器とは、どんな目的で使用するのでしょうか。
 多くの整備士は、故障を簡単に見つけ出す道具と思っている。

 一人の整備士が故障修理する場面は(今までに経験がなく判断に苦労する故障)、そんなに多くないと思う。
 (これが、みんな判断に苦労する故障だとすれば、よほど経験不足か、新米整備士なので論外である。しかし、現実はこうなのかもしれない)
 普段は、過去の経験と度胸で判断をして解決している。

 しかし、たまには手応えのある難しい故障に遭遇する。
 この様な時に、診断器に頼る事に相成るのである。
 いざ診断器の登場となると、普段から使用していないので取扱方法がよく分からない。
 診断器のデータを見ても判断ができないなどの問題が生じます。・・・

  私の思う診断器の利用目的とは・・・・・・
 
 1.技術力を高める道具である。

    今までに、点検をしたことがない箇所の点検又は診断ができる。
   (今まで、目で確認できなかった部分が数量的に表示されるので)
    診断器のデータを見る事により、素早く正確な情報が判るので、
    今までにない次元の異なる診断が可能になる。
      例:時々発生する故障のデータなどがモニターできるなど。

    整備士は診断器のデータを理解しようとして、修理書で調べたり、誰かに聞いたりして
    
自分のモノにしていくというスキルアップが行われます。

 2.技術力を売る道具である。

    お客様から見ると、整備士が苦労する難易度の高い故障も、簡単な故障も区別が付かない。
    結果として不具合が直れば、ひとまずお客様は満足してくれると思います。

   全国的に、整備料金の算出は、時間単価×作業時間(作業点数)を基本にしています。
   難易度の高い故障は、作業時間よりも診断時間(整備士から言うと勉強時間)が多くなり、
   そのまま計算をしたら相当高い整備料金になってしまうのである。

   実際には原因が究明できれば、何か部品の交換又は調整・修理が行われて、
   この部分が整備料金になると思われます。

   概算見積もりにおいて、診断器による診断が不可欠なこと、又その結果(印刷データ)を
    お客様に提示して説明することができれば、診断料が請求できる事になる。

 3.感と経験と度胸が備われば、診断器を使わなくても故障は直ります。

   
感と経験と度胸では、どうしても診断料が取りにくいが、
  診断器を使えば納得してもらえるのである。


  
   お客様に、診断器による診断をお勧めする提示用紙(例) 

    点検記録簿の備考欄に車載コンピュータ診断結果を記載する。
 
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