電子制御エンジン 故障診断の決め手
その1  合理的な故障診断の進め方とは

現在、自動車の電子制御化が進み、各部に採用されているシステムが複雑になってきた。

この様な、自動車を整備する場合、「電気の知識が必要だ」「サーキットテスター又はオシロ

スコープが必要だ」などと言われている。

 私の考えでは、優秀なプロの整備士ならば、特別なツールを使用せず、「感と度胸」で故障を

直して欲しいと願う。(ここでいう感とは、いい加減な感ではなく、経験と知識が積み重ねられた

技能者の感である)

機械的装置の故障は、関連した部品がいくつも壊れるものだが、電子制御装置の故障は、

たいがい1個の部品が故障をして症状を引き起こしている。

その1個の部品を宝さがしのように血眼になって、発見に努力をするのである。

合理的な故障診断の進め方

@ 情報を収集する。(技術相談窓口の利用など)

ディラー、及び各県振興会の技術相談窓口に相談してみる。

あるいは、同業者間で情報の交流をする。

※ 車種により故障の良く発生する箇所(ウイーク・ポイント)がある。

A 基本点検を確実に行う。(電、イン、燃、点、火、アイ、空)

できれば基本点検を実施した後に、技術相談をしてほしい。

基本点検項目の点検、及び整備のポイントについて別表にまとめたので

参考にしてほしい。

これは、私が技術相談を受けトラブルを解決したものを例にしてある。

B 前記@、Aで解決しない時

明めて外注する(自分には限界だと悟る。)か、又は諦めないかである。

諦め切れない時は、もう一度原点に戻り

「良い圧縮」  「良い混合気」  「良い火花」

のガソリンエンジンの三要素を再点検する。

さらに、三要素を構成するシステムについての勉強をして、個々の部品の

良否判定を行う。

このレベルになると、「電気的なツール」を利用しないと点検できない。

又、以外に判定が困難なことが多い。

「交換部品がたくさんあればいいなと」切なくなるものである。

最後は、どうしても度胸が必要になってくる。(交換部品が高くて、万一故障

していないと困る)

   しかし、失敗はつきものである。悪くない部品を交換してしまうことがある。

  途中の課程で、この部品を交換しないと先に進めないと言ったことが、必ずあるものです。

  悪い箇所を直す事が「修理」だとすれば、悪くない箇所も直す事が「整備」であると考えれば

  納得である。普通の整備士なのだから・・・・・(サイト名の修理記録としないゆえんである)

自動車整備は道楽ではない、営業である。一個の故障部品を探すのに何日

も費やしたのでは整備士として、肩身の狭い気がする。

「感と度胸」で素早く故障を直せる整備士になりたいと願っている。

                                       その2へ