最近の整備記録ーその53
車名 プリウス 整備区分 走行不良
年式 平成11年 不具合状況 走行中に加速しなくなる
型式 NHW10 故障箇所 エア・フロ・メータ
エンジン型式 1NZ-FXE 担当者 ssk
整備レポート
点検項目 整備内容
1.現象確認




2.基本点検


3.自己診断
















4.エア・フロ・メータの点検



5.結論
@エンジン暖機後走行テストをすると、突然加速しなくなった。
 時には、ガクンガクンと振動を発して走行する。
 出力制限警告灯、マスタ・ウォーニング、HV警告灯が点灯する。

Aプラグ、 点火時期、排気ガス点検
  エアクリーナ、ファンベルト点検

BDST−2による診断
  ダイアグノーシス
   EFI    異常コードなし
   HV    C2600(出力制限警告)
          C2739(エンジン出力異常)
   バッテリ  C2576(放電禁止制御異常)
  データ・モニタ
   水温   85℃        正常時  異常時
   エンジン回転数   985  1990  1900
   吸入空気量(g/s)    2.1   16.1   10.6
   O2センサF/B       リッチ   リッチ   リーン
   ΔSOC      20%
   電池SOC     60%
    IV20       2回(出力制限警告灯点灯回数)
  アクティブ・テスト
   燃料噴射増量を18〜20%にして、走行すると安定して
   走行が出来る。
Cエア・フロ・メータの熱線部の洗浄実施
  データ・モニタに示された空気量が安定し、走行テストをしても異常の発生がない。

DHV車なので、HVバッテリなどの不具合も考えながら、点検をしたが、基本的なEFI制御の故障でした。
動力源がモータ部もあるのでエンジン不調があっても、アシストされるので判断しにくい。
                   
  
エア・フロ・メータ
  全体図   
拡大図 熱線部 汚れた熱線 洗浄した熱線
参考
ΔSOCとは、バッテリー内でのモジュール間の充電容量差(バラツキ)を数値で示したものです。
(メーカー推奨値20%以下、30%注意要充電、40%交換)

20型プリウスのバッテリは
 定格:1.2Vのセルが168本直列に接続され、201.6Vとなっています。
(6セルで1モジュール構成なので、28モジュール直列接続)

さて、SOC(State Of Charge:充電容量)ですが、
168本のそれぞれのセルで、バラツキが発生することが懸念されます。
理想は全てのセルが、同じような充電状態にあることですが、バッテリが物質の化学的変化に
基づくものである以上、バラツキが発生する要因があります。


公開されているプリウスの資料では、
バッテリのSOCが制御範囲内に収まるようにコントロールされます。

新品状態では、バラツキのない状態ですが、経年時では、バラツキが増えます。
バラツキの大きい状態から、バラツキを小さくするための動作として、リフレッシュがあります。
10型ではTHSチャージャーを用いたバッテリリフレッシュ(外部均等充電)で、弱電流で長時間
(8時間)の充電を行い、バッテリの各セルが均等な充電状態に揃うようにします。
(いわゆる、バランス充電というものです)

10型、11型、それからエスハイでは、OBCという動作モードがあるようです。
オンボード均等充電(On-Boad Ballance Charge)

HVバッテリーが放電状態時の充電方法
@整備モードにして、アイドル・ストップを解除してアイドル運転する。
A運転モードをBレンジにして、減速状態が多くなる運転を行う。